まめ・ストリート・ジャーナル。

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劇場版ドラえもん「新・のび太の日本誕生」がネットで絶賛されているのに酷評する4つの理由。

ドラえもんの劇場版「新・のび太の日本誕生」を改めて見ました。正直、僕は別のブログ記事でも書いてますが、本作はドラえもん劇場版リメイクの中で最低のリメイクだと思ってます。

ネットで検索すれば(素晴らしいリメイクだ)(感動した)みたいなコメントがあって、Yahoo映画などでも高評価の嵐です。

今回は、なぜ僕がそれほどまでにこの作品を酷評するのか?という点を綴ってみたいと思います。

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1.過去作品からの変更点について殆ど触れない問題。

例えば、オリジナル版にあった「ほんやくこんにゃくお味噌味」から「しょうゆ味」に変更されているにも関わらず、それについて一切のフォローが無い点です。

オリジナル版にあった、古代人のククルがハンバーガーを食べて(ククル:こんにゃくの方が美味しかった)(ドラえもん: ククルは素朴な味が好きなんだね)という笑える会話だったり、オリジナル版ではどら焼きを食べていたドラえもんが、リメイク版ではエビフライカレーを食べている場面とかそれについて一切触れない点が、個人的には不満ポイントです。

2.のひ太のママめっちゃ心配する問題。

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これがオリジナル版とリメイク版の大きな世界観の違いです。

オリジナル版では、のび太たちの冒険(家出)の中での成長が大きなポイントになってましたが、リイメク版ではそこに、母親としてのママ、子供としてののび太という視点が加わって来ます。

冒頭で、のび太がテストの答案にペガサスの絵を書いて怒るシーン。そして、本当に家出をしたのび太を窓を眺めながら心配するママ。ここに、のび太のパパがハムスターを使った比喩で(おまえだった檻の中じゃ辛いよな)という言葉が入ります。その上で決して、母親とは完璧な存在ではないというメッセージも感じます。

つまり、怒られてばっかりののび太も辛い。それをわかってやれよ、というのび太のパパからのメッセージなわけですが、個人的にはそれが酷評するポイントですよね。

3.のび太は勉強に興味が無いだけ。

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以下、ネタバレですが、古代から帰って来たのび太を心配したママが部屋まで覗きに来るシーン。

部屋を開けると、ドラえもんの横で学校の予習をしているのび太の姿が映ります。そこでママが微笑んでED曲が流れる。

ネットでは(このシーンこそ全てが繋がった素晴らしい演出だ)といった賞賛のコメントがあるわけですが、僕はここが不満でした。

一見すると、予習をするのび太は素晴らしいですが、原作のF先生が描いたのび太は勉強ができない事に悩んでいるわけではありませんでした。

のび太は勉強が出来ないのではなく、勉強そのものに興味が無いだけだと僕は思ってます。その一方で、得意の射撃やあやとりを一生懸命にやるシーンから分かるように、興味がある事には一生懸命に取り組む。

そもそも、小学5年生という年齢を考えれば本編で描かれたような勉強という視点で語られるのび太像はあまりにも子供にとって酷では無いか?と僕は思ってます。

劇場版ドラえもんはのび太たちの冒険によって少し成長した姿が魅力であって、大人は極力介入してはいけないというのが僕の思いです。

4.ククル100万ボルト問題。

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ラスボスであるギガゾンビと戦うシーン、そして亜空間破壊装置をククルが止める感動的なシーン。

世間的にはここも評価ポイントですが、僕はここも批判ポイントです。

まず、亜空間を破壊できるくらいの電流の流れる電柱によじ登って曲げるっていう展開がありえないわけです。22世紀の技術が23世紀に負けたとか、そういった現実的な展開は全て無視ですよ。

オリジナル版の批判ポイントとして、あまりにも最後が淡白ではないか?という批判もあるようですね。タイムパトロールが全て解決するラスト。

でも小学5年生の普通の子供という視点でみれば、あまりにも理想的すぎる展開ではないでしょうか?

例えば、鉄人兵団のラストとか結果的にのび太たちは倒してないという結末です。

リイメク版だと、ピッポとの友情という視点で描かれてましたが、それも賛否があるわけですよね。

結果的に僕が新・のび太の日本誕生を酷評する理由は、あまりにも綺麗する展開です。

原作の悪い部分を直して観客が喜ぶように作った。

それは観客にとっては理想ですが、それが正しいのか僕は疑問に思ってます。

もしこれがリイメクではなく完全なオリジナルだったら僕はこの作品は傑作と言えると思ってますが、大傑作と呼ばれた旧作のリメイクとしては不満が残る作品でした。

気になる方は、ぜひ両方を見比べて比較すると面白いと思います。

以上、劇場版ドラえもん「新・のび太の日本誕生」がネットで絶賛されているのに酷評する4つの理由でした。