まめ・ストリート・ジャーナル。

書評や映画評を中心に思った事を書いてます。(ローソンのからあげクンよりも愛されたい)

ブクマの中の人のブログ記事を読んで考える、そもそも本読まないでしょ問題。

ここ最近、アプリ界隈で人気のアプリ「ブクマ」の話です。メルカリがほぼパクリなアプリをリリースして話題になってますが、その中の人のブログ記事が話題になっていたので思った事を書いてみようと思います。まず僕も何度か利用してますが、「ブクマ」のサービス自体は画期的だと思います。10秒で出品できる仕様は革命的だとさえ言えます。メルカリと同じくらいのインパクトのあるアプリだと思います。

halfway.hatenablog.com

ただ僕が思うのはサービス面ではなく、読者側の話ですよね。こういう読書系のサービスが話題になる度に口コミが盛り上がるわけですが、僕はこう言いたいわけです。

そもそも殆どの人は本を読まないでしょ?

という事です。

こんなデータもあります。

www.sankei.com

 マンガや雑誌を除く1カ月の読書量は、「1、2冊」と回答したのが34・5%、「3、4冊」は10・9%、「5、6冊」は3・4%、「7冊以上」が3・6%だったのに対し、「読まない」との回答が最も多く、47・5%に上った。

みんな、本読んでないのに買うんですか?という疑問があるわけです。村上春樹氏の「騎士団長殺し」が100万部突破で話題になってますが、1億3000万人人口がいて50万人弱しか読まないわけです。ちなみに、「ノルウェイの森」は文庫も含めて1000万部近く発行されているそうです。(90年代はネットもスマホも無かったですから、みんな暇な時間は本を読んでました。)新聞もネットがあるから要らない、テレビもYouTubeがあるから見ない。本当に本は売れるのか?ブクマは本のメルカリだって言われますが、僕はものすごくニッチな市場だと思ってるんですよね。中の人の記事では、ブクマは書店の体験をアプリ化したものだ的な事が綴られているわけですが、平日の書店なんて閑散としてますし、休日の昼間だって殆どの人が買うのは文庫や新書、雑誌ですよね。一時期、ピケティの本が流行って10万部売れたとかニュースで話題になってましたけど、いったい何人が読破したのか。社会学者で人気の古市氏によれば、9万部は飾りなんて言う話もありますけど、本を読む人なんて逆に少数派の時代です。

古本は売り手が損をする事で成り立っている。

一見すると本を売買する事のメリットがブクマで言われてますね。例えば、ブックオフが10円とか20円でしか買い取ってもらえない本が定価の7割くらいで売れる。でも、現在の古本市場は売り手(本を売る側)が損をする事で成り立っているわけです。例えば、Amazonの古本で1円販売っていう手法があります。あれがなぜ、儲かっているのかと言えば、1円で販売しても消費者が払う250円の送料の中から郵便で格安で発送できるので、Amazonに手数料を払った残りが儲けなわけです。それを何百冊も販売する利益を出す薄利多売モデルです。だから、Amazonで本を買う側は安く本を購入できわけです。

古本を売り手と書い手のウィンウィンにする事がブクマのメリットだと言いますが、そもそもウィンウィンでは無い事が古本を買う最大のメリットですよね。

古本の価値は一気に落ちる。

古本って一見すると定価1500円くらいだから価値があると思われてますが、実は紙にインクが乗っているだけであって、特別な価値はありません。ブックオフ(最近はバーコードを採用したらしい)が創業当時の方針としてバイトでも買取ができる。状態によって100円で販売する方法を採用した理由も、本に価値が無いと見込んだからです。たぶん、本の旬は販売から1年弱であって、それを過ぎると価値は一気に落ちる。その理由として図書館の利用が挙げられます。僕はブクマの最大の敵はメルカリでもブックオフでもなく図書館だと思ってます。大体、人気小説であったとしても1年を過ぎれば普通に予約で借りられます。

余談ですが、実は図書館は無料で本を提供する一方で、どんな本でも図書館マーケットで売れるという出版社にとってのメリットがあるわけです。

売り手が売りたい値段と買い手が買いたい値段。

これが僕はブクマの一番の問題だと思うんですよね。本の価値が一気に落ちる事は書きましたが、メルカリとの大きな違いは、本には定価が存在するという事です。つまり、定価以上では売れない、ある程度値引きをする事でしか売る事ができないわけです。その中で幾らまでだったら売るか?という問題があるわけですね。例えば、最近人気の「サピエンス全史」上下巻を新品で買うと4000円近くしますが、それが3000円くらいで売れるのであれば、双方にメリットがあるでしょう。ただ、これが1000円だったらどうでしょうか?安いから取っておこうと思うかもしれませんね。

もう一つ重要なのが手間という部分です。

フリマの性質上、どうしても梱包して発送する手間がある。古本屋なら書店に持っていくだけです。これが文庫で300円で売って100円送料がかかって10%手数料が取られると考えたら、いちいち手間をかけて売るか? という問題があります。

結果的にぼくが言いたい事は、本はインテリの象徴として価値があるものだという誤解がありますが、ただインクが乗った紙であって価値は一気に下落していく。その上でものすごくニッチな市場であって、書店、古書店、ネット書店、図書館と戦わなければいけないわけで、日常的に大量の本を読む読者層は圧倒的に少数であるという事です。その点で考えると、Amazonのアソシエイトや広告を主体にした読書記録サイトの「読書メーター」や「ブクログ」の方が面白いと感じてます。

結果的に安く売りたくない、高くも買いたくない、この微妙なラインの上で活発な取引が行われるのかは疑問です。

あえて強調しますが、殆どの人は日常的に大量の本を読みません。

1ロット、数千部の中でピンポイントで的確な売買を行う事は非常に難しいです。

そういった意味で、今後のブクマには期待しています。

以上、ブクマの中の人のブログ記事を読んで考える、そもそも本読まないでしょ問題でした。